
私が一番楽しみにしていた、「江戸東京たてもの園」の東ゾーンでは、夫婦そろって植村邸に興味を抱く。
昭和モダンな建築物だと言いたくなるところだが、この建築物の歴史背景を考えれば、浮かれてモダンモダンとはしゃいでいると浮かれているというより浮いている気がしてくる。

銅板の壁に戦争の爆撃の跡があるよと夫さんに教えられて見てみると穴が無数にある。
江戸東京たてもの園に移築されたそうだが、この建物だけが街並みから離れて、ぽつりと建っていると、なにか特別な建物のような感覚が増す。
参考サイト:植村邸

植村邸を後にしてメイン通りをはずれて脇道に入っていく。
風車をもった娘がどこかその風景に溶け込みそうだが、やはりちょっと異質な雰囲気さえも感じる。

ふと目をやると、(あれ?誰かここに住んでいるの?)と思う風景が目に入る。
洗濯物が干されておりしかも割烹着など干されているものだから、本当に誰か住んでいると思い込んでいたが後でチラシを見たら、これはボランティアの方がここにきてくれる方のために行っている活動の一つなのだとか。あまりにもリアルすぎて、少し自分の感覚がおかしくなるのを感じた。建物とそこに人がいるようなリアルな光景を体験すると頭が少し混乱して変になっておもしろいねえと夫さんと話す。
参照:江戸東京たてもの園:ボランティア活動

木でできたこの壁も懐かしいなあと思って、手で触ってみたり匂いを嗅いでみたりしていた。
そして今ではめったに見ることができなくなったがこういう看板ってよく見るとすごい。
オシャレな角丸看板だ。

鍵屋の中のメニューを見ていると、「どぜう」なるものがあり、一瞬何なのか考えていたら、思いだした。WADA-blog(わだぶろぐ)さんで、東京在住なら一度は食べておきたい「どじょう鍋」~駒形どぜう(前編)という記事を読んでいたのだが、「ああ!どじょうか!」とわかった。あの記事を思い出しながら、時代は変われど、人は変わらんもんやなあと何となく思う。

こういうなんとも言えない人間らしいというか人間味のある光景や歴史を感じるものをしみじみ見ると、いつも頭に堕落論の冒頭が思い浮かぶ。
半年のうちに世相は変った。醜(しこ)の御楯(みたて)といでたつ我は。大君のへにこそ死なめかへりみはせじ。若者達は花と散ったが、同じ彼等が生き残って闇屋(やみや)となる。ももとせの命ねがはじいつの日か御楯とゆかん君とちぎりて。ああ、夫さんと娘のことを忘れて自分の世界にひたってしまっていた。彼らは私がしみじみしているのを退屈そうに待っていた。
参照:坂口安吾 堕落論
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